蛇子としっこ

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「あっ」  耐えきれなくなったのか、平岩先輩が私の口から逃げた。 「……ゴム、つけるから」  そう言って、ティッシュの近くに備え付けられているコンドームに手を伸ばした。 「……あ……」  平岩先輩が焦ったように「ごめん」と言った。 「ちょっと、漏れちゃった」  ……漏れた?  平岩先輩のひざとひざのあいだに、小さなシミ。  ……漏れた。  漏らした。  いつかの私みたいに。  ――虎鉄も、あずなも、勇太郎も、崇斗も、私が漏らしたことを知っている。  あの4人だけが。  ……私の秘密を知っている。  だから、あの4人さえいなくなってしまえば、もうびくびくしながら過ごさなくていいのだ――。
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