蛇子としっこ

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 蛇には強い思念が宿っていた。  海底トンネルを建設する責任者の想いだ。  この責任者、作業中にトンネル内に欠陥があることに気がついた。  いつトンネル内に海水がなだれこんできてもおかしくないような欠陥だった。  この責任者が欠陥のことを工員たちに伝達する前に、海底トンネルは崩れた。  結果的に多くの人間の命を奪ってしまったという自責の念と、自分が欠陥に気づいていたことを誰にもばれたくないという保身の念が、この世に強く残った。  そして、その念が、白蛇に宿ったのだ。  秘密を知られたくない。  そんな私の想いと、白蛇に宿った念がリンクした。
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