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「何すんだよ、この変態野郎が!」
助けてもらっておいてそれはないだろう。口に出かけた言葉を呑み込み、サンダーベアに意識を集中させる。
「おい、聞いてんのか!」
耳元で聞こえる声に、リューティスはため息を吐き出した。
「聞こえていますよ」
「なら下ろせ! あの熊を仕留めるのはわたしだ!!」
無謀だ。肩でわめく人物が手にしている剣を見て呆れる。
電気の対策を何もせず、金属の剣で倒そうとなんぞ思うのは、無知な証拠である。
「死にたいのですか」
「なっ……!」
絶句したその人物を気に留めることなく、黄熊の背後に降り立ったリューティスは、刀でその太い首を刎ねた。飛び散る青みがかった血を避けてから、肩に担いだ重荷を下ろす。
「サンダーベアは常に電気を身に纏っています。金属製の武器で倒そうとするのは自殺行為です」
その人物は、勝気な女だった。鋭い目つきに薄い唇、細い眉。日に焼けた褐色の肌は、リューティスの白い肌とは違っていかにも健康そうである。
「お、お前だって金属の武器使ってたじゃねえか! それにこの剣の柄は、滑り止めに絶縁素材の布を巻いている……っ!」
リューティスは“ボックス”から解体用のナイフを取り出しながら、女に教えた。
「僕は絶縁の結界を張っていましたから。」
それがなければ、リューティスでも感電する。 下手したら死、だ。
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