九章 緊急招集、黒大鹿討伐

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   目立つが故に人前ではあまり使わないようにしていたが、使ったからといって何かあるわけではない。  ただし、リューティスの本来のランクはAではなく、もっと上のランクである。刀を使うことによって、ランクと実力が不つりあいであることに気がつかれてしまう可能性がある。  加減をしてAランク程度の実力であるように見せなければならないが、強者にそれを見破られてしまうかもしれない。  しかし、刀以外でリューティスが使える武器は弓や銃等の遠距離武器だけである。剣は得意ではなく、槍等もあまりとくいでない。一人で討伐依頼を遂行するのには、接近戦ができなければ難しく、武器は使えないと誤魔化すのは無理がある。 「……刀です」 「カタナ? ……カタナというのは、東の国の武器の?」 「えぇ」  刀自体を知らない者も少なくないのだが、流石は豊富な知識を持つことで有名なエルフである。 「珍しい武器を使っておるのぅ」 「生まれ育った村に、刀の使い手がいまして」  ──リューティスの刀の師は一人だけではない。しかし、今はそこまで言う必要はないだろう。 「それで刀か。……父上が大剣じゃから、剣を使うならお主も大剣じゃと思うていたのじゃが」  やはり父親のことは気がつかれていたか。リューティスの父親は有名であるから当たり前であろう。  大剣使いは弓使いと同様に、共闘慣れしていることが多い。大剣は振るう動作が大振りになり、隙ができやすいため、一人で戦うとどうしてもその隙をつかれてしまうのだ。 .
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