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それ故に、リューティスをリーダーに推薦したのだ。
「人間というものは、人によって差はありますが、年齢で順列をつけるのですよ」
いくら中身に問題あろうが、歳のいった者の方が立場が上だと、人間は思いこんでいる。
近年、年功序列というこの考えは崩れつつあるが、それでもライアンのような考えの持ち主は少なくない。
「歳の少ない者は、見下される。たとえ僕がSランクだったとしても、従おうと思う方は少ないでしょう」
「……年齢など、実力には関係ないというのに」
呆れたように息を吐き出したキオレ。魔法という存在がある限り、幼かろうが経験が少なかろうが、圧倒的な実力を持つ者はいるのである。
「……エルフ族は魔法に特化した一族ですし、その考えは当たり前かもしれませんが、人間族はそうではありませんから」
エルフより魔法が得意な人間もいる。エルフの中で一番の魔法使いよりも、人間で一番の魔法使いの方が、優れているとすら、いわれているのである。平均的な魔法の実力ではエルフの方がはるかに上であるが、やはり寿命の長さが考え方に違いを生じさせているのだろう。
「……大した魔法使えるわけでもないくせに」
ぼそりと呟いたライアンに、キオレの鋭い視線が向けられる。
「だったらお主は魔法が使えるのか?」
「使えるさ! 中級魔法もな!!」
見下したように、こちらを見て笑うライアンに、リューティスは零しかけた溜息を何とか呑み込んだ。
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