九章 緊急招集、黒大鹿討伐

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   しかしながら、その魔方陣は一部に古の魔法である古代魔法が使われているため、難解で複雑だ。それが理由で、この結界が張られている街は少ない。  油断していた。防犯目的で張られているだろう結界が原因で、上級魔法が使えることに気がつかれてしまうとは、思っていなかったのだ。  上級魔法を使ったのがリューティスだとわかったのは、街の入口で渡された札に魔力を解析する魔法が組み込まれていたのか、はたまた魔法が使われた場所からリューティスが使ったのだろうと推測したのか。 「やはりお主だったのか」  満足げに頷いたキオレに、リューティスは表情を消しさった。はめられた、らしい。 「それがお主の素か」 「…………」  表情や言葉を偽った覚えはない。僅かに眉を寄せると、今度はキオレが首をひねった。 「……気取った口調も素じゃったのか?」 「気取っているつもりはないのですが……」  困惑して言い返すと、なぜか目を丸くされた。 「まさかお主、貴族の小僧か!」 「貴族の血は混じっていないと申した記憶がありますが」  あの犬の散歩という依頼でフェンリルを助けた過程を説明した時に、不意に貴族かと問われたのである。無論、すぐに否定して、話を再開させた。 .
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