十章 出動せよ

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   剣、槍、弓、鎌、棍、鉈。  魔導書、杖、魔方陣札。  様々な武器を携えた冒険者で、ギルド“虎猫の宴”の建物は、満員であった。外に溢れ出ている冒険者もいるのだろう。  騒がしいが、ぴりぴりとした緊張感が漂っており、その顔は皆一様に険しい。  受付の奥の部屋の扉をわずかに開けたリューティスは、静かにその様子を観察していた。 「お主、準備は良いのか?」  背後からかけられた滑らかな声に、振り返る。 「えぇ、食料と薬は補填しておきましたから」  リューティスの“ボックス”の中は、いつどこへ行っても困らないくらい、様々なものが大量に入っている。  食料も薬も新たに揃える必要はなかったが、形だけでもと買い込んでおいた。  今日は腰に純白の刀も携えている。外へ出しておかずとも、魔武器のそれは名を呼べば簡単に喚び出せるのだが、見た目だけはそれらしくしておこうと腰にさげたのである。  キオレはソファーに座ったまま、テーブルの紅茶を手にとった。音を立てることなく、静かに飲む。 「その刀、魔武器かの?」 「えぇ」  真っ白な柄を、一撫でする。その尻から垂れる飾紐が、ふわりと揺れた。 「……綺麗じゃの」 「ありがとうございます」  汚れを知らぬ純白の刀。【白龍】という名のそれは、どこまでも美しい。 .
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