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リューティスが暇を告げて立ち上がると、キオレは何かを思い出したかのように突然こちらに視線を戻した。
「忘れておった。今晩、この建物を中心に帰還祝いの宴を行う。お主は強制参加じゃ」
強制といっても、キオレがリューティスを縛り付ける方法はない。口先だけであろう。
「……それは、僕が参加しても宜しいのですか?」
「一番活躍したくせに、何を言う」
不機嫌そうに睨みつけられ、リューティスは咄嗟に謝った。気に触ることを言ってしまったらしい。
リューティスは改めて一礼すると、部屋から出た。受付の外に出て辺りを見回すと、フィーが飲食用の椅子に腰を下ろしているのが見えて、彼に近づく。
「すみません、お待たせしました。昼食がまだですので、隣に座っても……?」
リューティスの声に振り返ったフィーは、破顔して隣の椅子を引いてくれた。
「ほら、座って」
「ありがとうございます」
ふわりと笑って、その席に腰をおろした。
フィーが手渡してきたメニューを、礼を言って受け取って、素早く目を通す。
「フィーはもう注文したのですか?」
「ん? あぁ、今注文しようとしてたところ。決まった?」
「はい」
リューティスが首肯すると、フィーは手を挙げ声をあげて、おそらくギルドの職員を兼ねているだろう接客従業員を呼ぶ。
足早にこちらへ来た彼にそれぞれ注文を告げると、改めて彼を見た。
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