三章 村祭と水神様

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  「……綺麗な剣術だな」  無言で鍛練に意識を戻すと、ぼんやりと眺めていたらしい女性が小さく呟いた。 「……ありがとうございます」  何と言い返したら良いのか迷ったが、誉め言葉に嘘はなさそうである。礼を告げれば、女性は口をつぐんだ。  ──流れるように。  滑らかに次々と剣術を繰り出す。  ゆっくりと行っていた動作を徐々に速め、しかし、乱雑にはせず丁寧に。  横に薙いだところで動きを止めた。正直まだ足りないが、こうもじっと見られながらいつもの鍛練をするのは憚れる。 「何かご用ですか」  こちらを見つめていた女性に問いかければ、視線を向けられた彼女はなぜか動揺した。 「なっ! ……べ、別にたいしたようでは」  ──偶然通りかかってこちらの姿を見つけただけかと思ったが、そうではなかったらしい。  もしかしたら昨日の助言についての話であろうか。あの話をするのも、さらなる助言をするのも、全ては彼女次第である。  ふと空を見上げると、太陽が東の空から顔を覗かせていた。金色の朝日が溢れだし、今日も世界を照らし始める。  たいした用がないというならば、朝食をとろうと、刀を仕舞って“ボックス”を開く。 .
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