一章 黄熊と巨大蜘蛛

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   ギルドランクは下からFからA、その次はAA、AAA、S、SS、SSSとなっていき、一番上は世界で一人しか持つものがいないランク──Xだ。  呆けたようにこちらを眺める若者に依頼書とカードを渡すと、若者はゆっくりと依頼書を見て、それからカードに目を移し、──次の瞬間、目を見開いた。 「男っ!?」  明らかに男とわかる格好をしていない限り、おおよそ二分の一の確率でされるその反応に、リューティスは肩を落とした。  ──リューティスは男だ。顔立ちは母親にそっくりだとよく言われたものだが、身長は成長期半ばの今既に成人男性の平均より少々高い。 「僕は男ですよ……」  まだ完全に大人になりきれていない、幼さを残す顔立ちが原因だろうか。 「わ、悪い……」  返された依頼書とカードを“ボックス”の中に戻す。 「…………いえ」  顔をさらし、出歩くようになってから、頻繁に性別を間違えられる。そんなに女顔かと問いただしたい。 「本当にすまん。……村長の家に案内する。こっちだ」  若者に連れられて、村の中へと足を踏み入れた。農作業に勤しむ男たちが、すれ違う主婦や子供たちが、好奇の目をこちらへ向ける。  旅人が珍しいのか、はたまた別の理由からか。 .
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