三章 村祭と水神様

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  「そ、それなら村で食べればいいだろ」 「村に食堂はないようでしたから」  小規模な村ならば、珍しいことではない。宿も食堂もない村では、旅人は大抵、村長の家に泊まらせてもらう。そのための客室があるのが当たり前なのだが、昨夜は村長が忙しそうだったために潔く森で寝たのである。 「違うっ! わかってるだろ冒険者なら。村長がお前の朝食用意して待ってるぞ」  女性に声を荒らげられて、リューティスは苦笑した。てっきり忘れられていると思っていたのだが。  それを告げると、彼女は呆れた表情になった。 「Aランクの持ち主のことなんか、忘れられるわけがないだろ」 「……そうでしょうか?」  Aランクの持ち主は、多くはないが少なくもない。これがSランクの持ち主ならばわかるのだが。  彼らを怒らせると大変なことになる。彼ら自身の力も恐ろしいが、彼らが統率力を発揮して何百、何千、もしくは何万といった人数の人々を纏めあげた時が恐ろしいのだ。  故に領主や村長は、ふらりと姿を現した彼らを歓迎し、ぞんざいに扱うことはあり得ない。  しかしながら、Aというランクはこの年齢では珍しいが、リューティスよりも十や二十歳上の者ならば、街中に行けば一人や二人はいる。 .
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