三章 村祭と水神様

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  「とにかく。……お前、村総出で探されてるぞ」 「……は」  なぜそんな大規模で捜索されているのだろうか。何かしでかした覚えはない。  それとも気がつかぬうちに何かやらかしたのか。思考を巡らせ始めたリューティスに、女性が溜め息を吐き出した。  この女性にすら呆れられるようなことを、無意識にしてしまったのだろうか。 「お前な……。肉の塊出して金受け取ったあと、すぐに姿消しただろ。何かあったんじゃねぇかって心配されてたぞ」  この辺りにはAランクの者を殺せるほど強い魔物は、昨日倒したサンダーベアくらいしかいないはずだが。  サンダーベアとて、不意に現れて襲われない限りは、こちらが負けるわけがない。不意に現れたとしても、こちらが気がつけば容易く対処できてしまう。 「起こりようがないかと思いますが」 「実力がAであろうと、お前、まだ二十にもなっていないだろ。心配されて当然だ」  なぜ年齢が関係あるというのだろうか。自分よりも四つ五つ歳上であろう女性を見て、リューティスは首を傾げた。 「年齢は関係ないのではないでしょうか」 「お前だって明らかに二十に満たないほっそい餓鬼が一人で森に入ってったら多少は心配になるだろ」  実力があれば、そうは思わない。見た目と実力がそぐわない者たちなど、見飽きるほどに見てきた。  それにしても、そんなに華奢に見えるのだろうか。それなりに筋肉はついているし、ひょろ長いと評されたことはないのだが、以前海に行ったときに驚かれたのを覚えている。 .
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