三章 村祭と水神様

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   朝から彼らに無駄手間をかけさせてしまったことに罪悪感を覚え、目を伏せる。 「あ、いや、いい、気にするな」  頭を乱暴に撫でられて、驚いて顔を上げれば、がたいの良い中年の男が、困ったように笑っていた。 「餓鬼なんだから餓鬼らしく口先だけで謝っとけ。こっちの心情まで理解する必要はない」  子供らしからぬ、と思われたのか。リューティスは心中で苦笑する。リューティスは、大人に囲まれて、大人と同じ扱いをされて育ったのだ。今さら子供に戻るのは難しい。  曖昧に笑んで誤魔化したリューティスは、村長の家へと連れていかれた。 「あぁ、無事だったか」  村人の一人がドアを叩くと直ぐに村長が中から顔を出した。安堵に表情を緩めた彼に、リューティスは眉尻を下げた。  サンダーベアを倒したリューティスが、ここらにいる魔物に負けるわけがないということは、彼らにもわかっているはずである。  昨日はリューティスのランクを知ってサンダーベアを討伐に行くのを見送ってくれたにも関わらず、なぜこんなに心配されるのか。 「……ちょっと話があるからね。朝食も用意してあるから入って」  ──昨夜の、あの気配か。  気のせいかと思ったが、そうではなかったらしい。素知らぬふりをして頷き、リューティスは村長の家へと足を踏み入れた。 .
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