三章 村祭と水神様

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   これは、魔獣とは異なり魔人は言葉を安易に解し、人と同じように会話を成り立たせ、中には人では理解できる者が一握りしかいない難解な古代魔法を、意のままに操る者もいるからである。  人と同程度の頭脳を有し、人より魔法に優れた者たち──魔人。その多くは魔界に住んでおり、つい先日、魔界との戦争に勝利した人間界であるが、その残党はまだ多く残っている。  首謀者である魔人は死し、囚われの身となっていた魔王が、魔界を人間界と敵対しない社会に作り直している最中である。魔王の命に従わない者も出てくるだろう。それもこちらに流れてくる可能性が高い。  それらの討伐はリューティスが旅をする上での一つの義務のようなものである。 「……隣村が壊滅したらしくて……、中級か上級じゃないかって、今朝早馬が」  生き残った村人の証言からの推測であろうか。 「……魔人の顔立ちは、醜かったですか?」 「え? ……い、いや、特に醜かったとは」  ──例外がないとは言い切れないが、魔人の顔立ちはランクと関係しているといわれている。  下級魔人は、完全なる人の顔をしているものは少ないと聞く。顔半分が潰れていたり、鱗におおわれていたりと様々な特徴を持つ者がいる。  中級魔人は、大抵、醜い顔立ちをしている。平凡な、何の特徴もない顔立ちなのが上級魔人で、最上級魔人は美しい顔立ちをしている。  魔人の顔立ちは、その魔人の強さを示しているといっても過言ではない。 .
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