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魔人の顔立ちがわからない以上、相手は上級魔人であると想定して対策をたてるべきである。
リューティスが飛び出していって討伐することは可能であるが、出来る限りこちらの実力は奴等に知られたくない。一致団結して潰しにかかってこられたら、厄介である。
一先ずは信頼できる者に連絡を取るべきか。戦争の復興のために、実力者たちは駆り出されている。手の空いている者は少ない。
暫く考えた末に、二人の人物を呼び出すことに決めて、リューティスは口を開いた。
「……二人、首都から呼びます。ランクはSとSS、信頼できる者です」
「そ、そんな上のお方をっ……?」
村長が絶句した。彼が言いたいことは大体わかる。リューティスにSとSSの二人を呼び出す権利があるのか、ということに違いない。
リューティスは誤魔化すように曖昧に笑んだ。リューティスが念話という魔法を使って呼び掛ければ、彼らは転移魔法などという高等な魔法を使ってでも瞬時に駆けつけてくれるだろう。
「僕は壊滅した村に向かいます。治癒魔法が使えますから」
怪我人がいるのは、ほぼ間違いない。治癒魔法の使い手は、戦争が終わったばかりの今、皆手が塞がっている。
早馬で首都まで行っても、手の空いている治癒魔法の使い手がいなければ、隣村の怪我人は数日間治癒魔法の使い手が回ってくるまで順番を待つしかないのだ。
早くから向かわなければ、助けられる命も助けられなくなる。
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