三章 村祭と水神様

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   魔力量には自信がある。さっさと怪我人の治療をして、困っていることがないか確認して、祭りに参加できればいいが。 「ではこれで。──我望むは、彼の地に渡ることなり」  目を閉じ、神経を敏感にさせ、網のように魔力を広げていく。徒歩ならばこの村から二、三日かかるであろうと思われる距離に、人のものと思われる魔力がいくつも集まっている場所を見つけた。  他にこの村の周辺に村と思われる場所はない。丁度その正反対にある、それとは規模が全く異なる魔力の大きな集まりは、おそらく首都だ。 「“転移”」  ──無属性上級魔法“転移”。  目的地をしっかりと脳裏に浮かべたリューティスは、滅多にしない詠唱のあとに魔法名を呟いた。 .
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