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「ここに座ってね」
示されたソファーに、失礼しますと一声かけてから腰を下ろす。粗末な作りのソファーは、別段柔らかくはない。しかし、固すぎることもなく、座り心地は悪くなかった。
「早速だけど、依頼の内容はわかっているよね?」
「はい。サンダーベアの討伐、ですね」
──黄熊(サンダーベア)。雷属性の中級魔物である。
電気を常に纏っているという厄介な魔物であるが、遠距離からの魔法や、絶縁体素材の武器を使用すれば、安全に倒すことができる。
「ならBランク依頼だということは……」
──リューティスを一目見て村長が目を見開いた理由がわかった。リューティスがBランクの持ち主に見えなかったのだろう。
十六というこの年齢でBランクなのは、よほど優秀な者くらいである。成人でもBランク以上の持ち主はさほど多くない。
ギルドの依頼を受けるとき、受付の者に無謀と判断された場合、受けられないということくらい彼も知っているはずだが、それでも心配になったのだろう。
苦笑しながら“ボックス”からギルドカードを取り出して彼に差し出すと、彼は唖然とした表情になった。
「Aっ!?」
カードとリューティスとを何度も見比べる村長に、──ほんの数日前まで世界のトップに立って戦っていたリューティスは笑みを溢した。
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