三十八章 手合わせ

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   リューティスは笑って誤魔化して、再び文字を書く。  『試験はこれで終わりですか』と訊ねると、彼は頷いた。 「今日は終わりだ。明日、AAランク相当の依頼を、試験官付き添いで受けてもらう。……お前、たしかキラトから来ていたな? キラト周辺でAAランク相当の依頼が丁度出たらしい。明日の朝、試験官がギルド“暗夜の憂鬱”支部に行く。そいつと一緒に依頼を受けろ」  理解したことをまた文字にして示して、リューティスは一礼を残し、訓練部屋から出た。扉のすぐ側に、知った魔力があるのには気がついていた。 「お疲れ様」  金色の目を細め、柔らかな笑みを浮かべるのは、“月の光”零番隊副隊長のローザンである。暇ではないはずなのだが、なぜ彼がわざわざここまで来たのだろうか。 『なぜここへ?』 「迎えに。……って何で念話なんだ?」  あの試験官の男は念話ができそうになかったためあんな方法で会話をしたが、ローザンならばこちらの方が楽である。  念話は、相手と強い繋がりがないかぎり、向こうもこちらも念話魔法が使えなければ、通じない。 『……久々に声を上げましたら、喉が嗄れてしまいまして』 「嗄れた!?」  ばっと振り返った彼に、腕を掴まれる。 「光帝の元に──いえ、せめてあの馬鹿にでもっ!!」  慌てる彼に、リューティスは苦笑する。大したことはないのだが。 .
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