三十九章 キラトへ戻れば

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  「お疲れ様でした」  転移魔方陣によって“暗夜の憂鬱”キラト支部に戻ってきたリューティスが、魔方陣のある部屋から出て受付の奥に出ると、受付をしていた朝会った受付嬢がこちらに気がついて頭を下げた。  リューティスは淡く笑んで会釈をし、無言で受付から出る。少しだけ不思議そうな様子でリューティスを見ていた受付嬢であったが、依頼を終えたらしい者が受付の前に立てば、すぐにリューティスから視線を外した。  リューティスはギルドから出て宿へと足を向ける。小さく声を出してみるが、何かが喉に引っかかり、上手く声が出せない。  無理をして悪化させるよりはと諦めて、二人への言い訳を考え始めた。 「おかえりー」 「お疲れさん」  宿の一階の酒場で、酒を片手に談笑していたフィーとヤエが、手をあげてリューティスを見た。  リューティスは小さく笑って、ヤエの隣に腰を下ろす。 「……どうかしたのか?」  何も言わないリューティスを訝しく思ったのか、怪訝そうな様子で訊ねてきたヤエ。結局良い誤魔化し方法を思い付かなかったリューティスは、宙に文字を書いた。  反転させてそれを示せば、眉をひそめていた二人が目を見開く。 「今すぐ治療院に行くぞ!」  音を立てて立ち上がったヤエに、リューティスは首を横に振る。 「悪化したらどうするつもりだ」  『既に薬舐めてるから大丈夫』と書いて見せれば、ヤエは渋々椅子に座り直した。 .
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