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『それなら拓人さんが彼氏になれば良い』と景紀が言うと
「悪いな、俺はもう結婚してる」
「は?」
「あ、相手は男だけどな」
「へ?」
「お前驚きすぎだろ」
驚くもなにも、と景紀は複雑な心境になりながら、どう返事をすれば良いのか頭をフル回転させるが、何も良い言葉が浮かんでこない。
「俺は今の嫁な、男だけど。あいつと出逢う前に朝陽に出逢ってたら迷わず朝陽を選んだ」
「はあ…」
「それくらい良い女だって事だよ。ここがな、優しく出来てる」
拓人はそう言って自分の左胸をポンポンと叩いた。
『痛みをよく知ってるから人一倍優しいんだよ』と言いながら。
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