奇妙な同居

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翌朝目が覚めるとまだ雪は降っていて、朝陽は仕事するのも億劫になり社員へ一斉にメールを送信する。 【今日は休み】と。 ソファの上で背伸びをして、大型犬ならぬ景紀を見ると熟睡していた。 よく考えてみれば何とも気の毒な話ではある。四年付き合っても終わるものは終わるのか、と小さくため息を吐く。幼い頃に両親が離婚した朝陽には結婚に対して良いイメージがない。 友人達もそうだが、好きで結婚してもどこかで愛情が薄れるか、他に好きな相手が出来て離婚したり不倫したりと良い話なんてほんのわずかしか耳に入って来ないし、男性社員達の話を聞いていても『うちの嫁は給料さえあれば良いと思ってる』だの『夕飯さえない日がある』と愚痴を零す。 納期近くなれば徹夜が続く日もあるし、普段ですら帰宅の時間がバラバラだと夕食を作るだけ無駄という事だろうか、と朝陽は思う。 なるべく残業しなくて良いように仕事を受けているが、それでもどこかでしわ寄せがある。
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