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少し重い足取りで家に帰ると、景紀が届いたワインをセラーへと片付けている最中だった。
朝陽はその姿をぼんやりと眺め、仲直り出来たのかなあ、と声をかける事もせずに景紀の後ろ姿を見つめる。
随分前から知っている税務署員、いつも真面目に仕事をしている姿を見かけていた。
山口課長と話している時も真面目で良いヤツだ、とよく褒められていたな、と思い出し、実際出逢ってから数日の付き合いでも優しくて素敵な男性だと分かる。
「朝陽さん、今日はすみません」
「あ?ううん、仲直り出来た?」
「いや、無理」
「へ?」
「真由が何を考えてるか分かんないし」
木箱をまとめて落ちたゴミを掃除機で吸い取りながら景紀が話を続ける。
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