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「何で俺、朝陽さんの事覚えてないんだろう?」
「いつも先に山口課長と電話で時間決めて行ってたから」
「そう…」
「ごめんなさい、黙ってて」
「いや、それは良いんだけど」
掃除機を片付けに行く時に朝陽の横を通り過ぎると、嗅いだ事のない匂いがした。
女性の匂いではなく、明らかに男の匂い。
あの拓人という男の匂いなのか、と思うと一瞬胸がチクリと痛んだ。
片付けてソファに座ると朝陽が反対側に座り、他に何か聞く事があるかと聞いてきた。
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