優しい嘘

23/37
前へ
/2475ページ
次へ
「はい、では恒例のお年玉でーす」 朝陽のその号令で社員はわいわい言いながら列を作り、朝陽は一人一人手渡しで封筒に入った現金を渡して行く。 これは給料ではなく、あくまでもお年玉。 日頃お小遣いを制限されている社員達のために、朝陽が考えてポケットマネーで社員に配る。 全員一律五万ずつ、社員はその五万が朝陽のポケットマネーだと知っているせいか、大事に使う。 「15時にいつもの料理が届きまーす!それまでダッシュで片付けて、飲んじゃいましょう!」 社員が声を合わせて一斉に事務所内の掃除を始め、仕事の残った者は急いで仕事を片付けていく。 元々社員が几帳面なのか散らかる事も埃がたまる事もないが、一年の終わりという事で一種のけじめとして掃除をする。 が、朝陽はのんびりソファに座って皆が掃除する姿をニコニコしながら見ているだけ。 社長室も他の社員が掃除機をかけ、朝陽に足をソファの上に上げるよう言い、朝陽は言われた通りヒールを両手にソファの上に足をのせている。
/2475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21414人が本棚に入れています
本棚に追加