優しい嘘

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一方景紀は定時で仕事が終わり、マンションの近所にある不動産屋の物件を見ながら悩んでいた。 自分の勤める署に近い物件が良いのに、やはりその近辺は家賃が高い。朝陽のマンションからは自転車で行ける距離でかなり助かるのに、と苦い顔になってしまう。 突然ポン、と肩を叩かれてビクッとしながら振り返ると 「よお」 会って二度目なのに馴れ馴れしい拓人が立っていた。 『何やってんの?』と聞きながら不動産屋の壁に貼られた物件を見ると 「朝陽のとこ出て行くの?」 「え…」 「ずっと居ればいいじゃん」 「そ、そういう訳には」
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