優しい嘘

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拓人にグラスを渡され、何故か乾杯をして少し口をつけると強いアルコールが喉を焼き付けながら通って行くのが分かる。 『朝陽の事だけどさ』と、拓人が口を開き、景紀は一体何の話をされるのかと思いながらその話の続きを待った。 「あいつさ、いつも笑ってるだろ?」 「そ…うですね」 「でさ、別に引っ越す事ないと思うんだけど」 全く話に脈絡がなくて、一瞬景紀はどう切り返すのか迷ったが。 とりあえず引越の話をする事にして 「それでもずっとご厄介になる理由がありませんから」 「朝陽の事嫌いか?」 「そんな事はありませんが」 「それなら朝陽の事好きになればいいじゃん」 「はい?」
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