物語の終わりは誰かの始まり

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墓の前一人立ち尽くす。 大切だったのに、その思いを伝えられずむかえた今という現状。 泣いても、泣いても涙は枯れず、もしかしたらとあの時もらった携帯を握り締め続けた。 今も側にないと落ちつかず、ポケットに入れっぱなし。 鳴らない着信音。 鳴るかもしれないという可能性。 それにすがり前をむけない自分自身…… 雨足が強くなってきた。 そろそろ帰らないと…… 重たい足をひきずるようにして歩く。 雨音に混じり、微かに着信を告げるメロディーがなったような気がした。 でもそれは幻聴でしかなくて、無機質な画面は雨だか涙で濡れていくだけだった……
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