『三分間の魔法』

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「今日は寒いね」 それはある冬の出来事。 時刻は20時、夜の吉祥寺の駅前広場で佇んでいると、 すぐ隣の方から声をかけられた。 三白眼の大きな瞳が印象的な、茶色の髪のくせっけの女の子だった。 学生なのか、黒いセーラー服に真っ赤なマフラーをしている。 女の子は瞳をうっすらとあけて、こちらを見て笑みを浮かべた。 キャッチセールスの類だ、なんて思って無視しようとしたら、 その瞳から目が離せなくなっていた。 彼女は空を眺めながら、独り言の様にしゃべり始める。 マグドナルドの新しいハンバーガーがおいしくないだの、 ジュースをお気に入りの洋服にこぼしただの、 実にくだらない話ばかりだった。
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