陽が昇る

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西池 佑介 「今日、火曜日ちゃうけど?」 Honeysから出てきて真っ直ぐこちらに歩み寄ってきた隆正が、バラをくれと言い出した。 「うん、それ大隈にも言われた。 でももう曜日には拘らない事にした。 ちゃんと伝えることにしたから。」 柔らかく、でもしっかり俺を見据えてそう言うた隆正に、ああそういうことか、と悟る。 「ほんならそれこそもう花贈ることに拘らなくてもええんちゃうの?」 「いや、そこは長年の習慣というか…手ぶらもアレやん。」 ま、ええけど。 あ。 「今じゃなきゃアカン? 今日の夕方とか…取って置きの花用意したるわ。」 思い立ってそう告げると、キョトンと野生のタヌキのような表情をした後、急にぷしゅ~っと気が抜けたようにいつもの笑顔になった。 直前の男前どこいった。 「ん、まぁそういうことならぁ、仕事終わってから来ますわぁ。 考えてみたら今お花買っても渡しに行く時間あらへん。」 アホ…。
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