陽が昇る

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島谷 椿 店をそろそろ閉めようかという時にドアが開いた。 「隆?」 一瞬、あれ今日何曜日やっけ?と頭にはてなマーク。 基本こいつは火曜日以外は来ない。 手にしたバラに気付きつつも疑問を投げかける。 「どしたん?」 「気持ちを伝えに。」 微かに微笑んだ隆正に心臓がドクンとなった。 何かがいつもと違う気がして目の前に立つ隆正を見上げつつも足が前に出ない。 「受け取ってもらえますか?」 「…うん。」 気恥ずかしくて目を下に落としながらも習慣でバラを受け取ろうと手を上げかけると、隆正の手が止まったままなのに気付いて思わず顔を上げた。 「好きです」 「知っとる」 「僕はあなたが欲しい。 それでも受け取ってくれますか?」 無言で奪うように花を抜き取った。
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