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「やっぱ…そうやんな」
なぜか小さくそう呟いて、俺の手の中のカラフルな財布を抜き取った祥ちゃんが「ありがと、帰ろ!」と寂しげな笑顔を向けた。
ちゃう。
そんな作り笑いが見たいんとちゃうねん。
彼にはいつも笑っててほしいのに。
顔くしゃくしゃにして心の底から笑っててほしいのに。
「祥ちゃんが好きや。」
俺のせいでこの笑顔を曇らせてしまったんなら俺の力でまた笑顔にさせたい。
「好きやねん。
笑って?俺の為だけに笑ってや…」
色々考えてたハズの告白のセリフ全部すっとばして、自分の気持ち押し付けるだけの要求。
なのに祥ちゃんは、
「あとは?」
「えっ」
先程の伺うような視線とうって変わって真っ直ぐ目を覗き込まれる。
あれ、俺の告白流されたんやろか。
「他に…って」
「俺の事好きなんやろ。
言いたいこともっとあるんちゃうん。」
突然始まるドS。(それも悪くない…)
「何や、好きってその程度?
我が儘でも何でもぶつけてみぃや。
響かへんでー?」
「俺と付き合うて!」
「…」
「大事にするし!幸せにするから!」
「与えられる幸せなんかいらんで?」
「うぅ…」
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