男三十から。

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どれくらいそうしていたのか、抵抗もせず受け入れてくれていた祥ちゃんの手が俺の服の裾を握りしめていた。 「祥ちゃん、…祥。」 「うん」 「好き」 「うん」 「俺の片想いや思うとった…」 「それはこっちの台詞。 どうやってアプローチしたらええかわからんくて、そのうち加減がわからんくなってもうた。」 祥ちゃんが俺のために試行錯誤してくれたあれやこれは全てが面白いように俺にハマり、蟻地獄に捕らえられた獲物のように引きずりこまれたのかもしれない。 祥ちゃんが狙ってやったことは全て俺を打ち抜いたけど、狙わずにしでかした天然もそれはそれで動悸が激しくなる。 結局のところ、深みにはまったのは俺の方。
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