ナッピバースデイ

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黒崎 拓海 「くそっ負けへんぞ! 大隈ぁ!コーヒーや!」 「うちのコーヒーをそんな飲み方せんといてよ」 「ご、ごめんな、食べ物屋さんに匂いつけてきたらアカンよな、俺これパーカー脱ぐし、」 今年も祥のバースデーがやってきて、もうそんな祝ってもらうような歳やないし、と本人が遠慮してたところを、飲む口実が欲しいと言うとそうやんな!と顔がパッと明るくなったからきっとこうして毎年続いていくんやろう。 いつの間にか毎年ワイン担当みたいになってしまった俺は、ボトル片手にもう片方の手には、料理とドリンクを担当する大隈を労うためのチーズを持っていた。 ワインにはくっさいチーズが合うしな! 「…オネーチャンの匂いするやんけ!」 「えっ、拓海君もぉ?誰のお姉ちゃん?」 「祥そのくだりさっきやったやろ、お前のことや」 「えっ、俺の姉ちゃんの話?」 「ちゃうぅぅう!!」 全く噛み合わない平和な話を聞き流して何があったのかだいたい見当をつけた。 その…でゅふ…でぃゅっ…ふゅーざーとかいうやつの香りがきつすぎるって椿が怒っとんのやろ? 「拓海君、全然言えてへんわぁ ディフューザーくらい最近じゃ男も置くって」 やかまし、OLカップルめ。
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