ナッピバースデイ

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藤村 慎二 「オカン」みたいやってよく言われる俺はそれを自覚しとる。 でもこういう宴会のような場では「オトン」が張り切る。 甲斐甲斐しく面倒見て、一緒に笑ったり、困った顔したり誰かの面倒事に巻き込まれて(主に隆正)盛大に滑ったりする。 そしてそれを見て微笑んだ自分に気付いてハッとして思わず顔を逸らすと祥と目が合った。 目尻をくしゃっとさせて本当に嬉しそうににっこり笑った。 なんやねん、と小さく漏らすと酒のせいで赤くなった目元で見上げながら言うた。 「オカンが笑うとオトンが幸せそな顔するんやで」 「何が?」 「拓海君、慎ちゃんのことばっか見とんねん」 「え…」 言われて顔を上げると拓海が慌てて顔を逸らした。 「なんや、寂しいんか!俺が隣におらんと心配やって!?」 「慎ちゃんのそういうデリカシーのないとこ、あかんと思うわぁ」 でも二人がこういう場を作ってくれるから「息子達」は安心して羽目をはずしたりできんねんな、ありがと、とかわいらしく小首を傾げた。 こっちこそ、気配りのできる出来た「娘」を持って(娘は一人や)ありがたいわ。 行成と付き合い始めて祥はますますその女子力に磨きがかかっていた。 どこに向かってるのかわからんけど。
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