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その場にいた全員がこれから行われる茶番が手に取るようにわかり無表情で道を開けた。
「あなたの門出を祝福して…」
キメ顔でバサッと花束を差し出す山ちゃん。
「ありがと。…はい、佑介」
椿君は横で手を差し出して待ってた佑ちゃんに花束を渡した。
華麗なるパス!
花束を所持していた時間、1秒。
「いやいや!え?あれ?椿君!?」
想像していた展開と違ったのか山ちゃんが狼狽える。
「隆盛、ホンマ言いにくいんやけどこれから飛行機乗るのにさすがにジャマやわ」
と全然言いにくくなさそうにスラスラと椿君は答えた。
ですよね!とその場の全員が思っている。
今では山ちゃんから貰ったバラは佑ちゃんが枯れないようにプリザーブドフラワーに加工していると言うのも皆が知っていること。
「これさっき佑ちゃんから買ったバラなんやけどまた佑ちゃんの手に戻ってきてるんやけど」
「お前が欲しい言うから」
「言うたけどブーメランやん!」
「お前が欲しい言うから」
「まぁ、まぁまぁまぁ、こんなこともね、あるかもしれんて僕かて予想はしてた訳ですよ」
ウソつけ。
「花枯れたらもったいないから佑介に管理してもらう」
花は枯れへんけど椿君はドライー!とかしょうもないこと考えてると、山ちゃんが胸元から小さな小箱を取り出した。
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