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少女の背中から落ちたそれは、やがて大量の煙りを吹き出し、様々な形へと変えていった
ドクンドクンと少女の心臓がそれに宿ったことにより、心臓が右胸にたどり着いた時には、それは人の形になっていた
「大丈夫?」と右胸を抑える少女
煙りだったそれは、人間の男の姿になり、うっすらと透けて見えてた心臓が右胸に到着すると、深い深呼吸をした
彼は生きた、ただそれだけしか言えなかった
「貴方、名前は?」
少女が聞くと、彼はうつむいたままだった
「私はローラン。召喚士
貴方を呼んだのよ」
ローランは彼の目を見た。すると驚くことに彼の目は、自分と同じ赤色の瞳だった
赤く染まった瞳同士が目を合わせる
悲しそうな表情を浮かべながら彼が言った最初の一言に私は心が痛くなった
「何故僕を助けた?」
ローランは迷いなく言った
「初めて召喚したのに、死なれては困るからよ」
だって、生きていなきゃ親に召喚士として認めてもらえないし、家に帰れないし……
続けてローランは聞いた
「貴方を使い魔として契約したいんだけど、いいかな?」
それを聞くと彼は小さく呟いた
「それって…僕を必要とされてるってこと?」
聞き取りづらかったが、ローランはちゃんと彼の声を聞き取っていた
「勿論!!じゃなきゃこっちが困るわよ」
ローランの態度に、思わず彼の目から涙が
「何処か痛いの?」とローランが聞くと、彼は泣きながらこう答えた
「初めて必要とされた…」
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