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悲しげにうつむく彼の体はやがて完全に形勢された
形勢された彼の体を見て、ローランは目を疑った
「貴方、その体は……」
「体?」と彼は自分の腕を見た
彼にとってなんら驚きもなかった様子だが、ローランにとってそれはとてもおぞましかった
一つ、彼の体約半分が獣の姿だったこと
肌の表面が鱗だらけだったり、手首辺りに黒い毛がぼうぼうと生えていたり、とにかく全ての生き物の一部が彼の体に混じったようにみえる
二つ、彼から尋常じゃないくらいの魔力を感じること
普通、魔力というのは一般的に心の器や、その家の血筋によって量は大きく変わるんだけど、彼の場合は血筋もなんも関係ないのに、近くにいるだけでビリビリと麻痺してしまいそうなくらいの魔力を感じる
彼の魔力はそれほど尋常じゃないということだ
そんな相手だろうと、ローランは使い魔を召喚させた喜びでいっぱいだった
「じゃあ、契約するから指を出して」
ローランは彼の腕を掴もうと、手を伸ばした
しかし彼は嫌がる素振りをしながら決して手を出そうとはしなかった
「少し貴方の血と私の血を混ぜればいいだけで契約ができるんだから
手を出してよ!!」
ローランが必死に呼びかけるも、彼はそれから言葉を返さなくなった
今まで沢山の召喚士達が契約をしているのを見たことはあるが、契約が出来ない使い魔なんて見たことない
ローランはため息をついて、地面にねっころがった
やっぱり私には召喚士としての才能がないのか…
諦めた様子でねっころがるローランを見て、男は渋々と足を起こし、ねっころがるローランに自分の顔を近づけた
その瞬間、ふと目を開けたローランは「キャッ!?」と小さな悲鳴を上げた
さっきまで横に座りこんでいた彼が、目を開けると顔を近づきすぎるっていうくらい顔を近づけていたのだから
このまま一掃、キスをしてしまうかのように
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