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「ども、依頼持ってきたよ」
黒髪で背が高めな青年が、平仮名で『ますたー』と書かれた板の下がった扉の前で気だるそうに言った。
「おま、やる気…」
と部屋の中から声がした。はぁ、とため息を吐いた後、短く「入れ」という声がする。
それに対し青年は「うい」と返事をしただけだった。
そう、それだけだった。
「…」
「…」
しばらく静寂が続く。すると、痺れを切らしたのか、部屋の中から人が歩きながら近づく音がする。その音の主は勢いよく扉を開け、少し涙目で青年に怒鳴る。
「入れよ!何!?何で待ったの!?嫌がらせ!?」
そう一気にまくし立てる男に青年は静かに返す。
「…所詮、人間の敵は人間だよ」
「ここでその台詞チョイス!?」
男はその青年の言葉に反撃するのを諦め、深いため息を吐いて部屋に招き入れた。
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