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「僕は今まで絢音さん以外の人と長く話した事がなくて。学校なんて沢山の人と関わる場所……僕には無理です」
「じゃが、千里とは話せていたじゃろう?」
「……それは、そうですが」
人が集まる所はただでさえ苦手だった。学校というものを想像した事もないが、出来れば勉強なら一人でするし、今までもそうしてきた。
瑞稀には必要だとは思えなかったのだ。
瑞稀が渋っていると、総帥は困ったように腕を組んだ。
暫く考え込んだ後、再び口を開く。
「同年代の友達から学ぶことも多いのじゃよ。世界の片隅を見ると思えばよい」
「言葉は凄く素敵ですね」
瑞稀は少し嫌味を含めて言ったつもりだったが、それを肯定ととったらしい。総帥は和かに一つ頷いた。
瑞稀は、この断れない性格を直さなければと、違う方向に決意を固めたのだった。
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