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「佐倉瑞稀です。得意なのは火属性の魔法。どうぞよろしく」
黒板には白いチョークで“佐倉瑞稀”と、のっぺりした字で書いてある。
勿論、瑞稀が書いた物だ。
深紅の髪に焦げ茶の瞳を持つ、少し短身の瑞稀が軽く会釈をすると、周りはざわざわとどよめいた。
白虎に任命され、学園に行くよう言い渡されてから、一週間が経っていた。
編入試験も、学はなかったものの、元々本を読むのが好きだった瑞稀は難無くクリアした。
実技においては(ある種 当然だが)教員の目を丸くさせた程だった。
WGで自室を貰ったにも関わらず、学園が全寮制の為、荷物は全てこちらに。
とはいえ、それも最小限生活出来る程しかないのだが。
兎にも角にも、柳緑学園の1年A組の教室で今し方 挨拶を終えたという訳だ。
「何か質問がある奴は休憩時間にな。季節外れの転入生だ。まあ仲良くしてやれよ」
このクラスの担任、池永裕二は瑞稀に席を指定して座らせた。
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