秘密

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ここ柳緑学園の寮は、何棟かに別れていて、二人で一部屋、一棟に約100人ほどの生徒が住むことが出来る。 その棟の中の一つ、角部屋に割り当てられた瑞稀。今は端数が居ないらしく、一人で部屋を使うようにと校長から言われていた。 「まだ少ないな、荷物」 部屋を見渡し、一言。声の主は慎也である。 「もともと少ないんだよ。それにしても、一人でこんなに広いと落ち着かないな」 元は二人部屋の作りなため、共同で使うリビングとキッチンがあり、それぞれの部屋の扉が向かいに繋がっている。 コーヒーの良い香りをさせて、瑞稀は慎也の向かいに座り、テーブルにソーサーとカップを置いた。 「まだ慣れないうちは依頼を寄越さないって総帥も言ってたから。ちょっとずつ慣れればいいよ」 「ああ、ありがとな」 「――で、聞きたいことって?」 慎也が瑞稀の部屋を訪れたのは、瑞稀から誘われたためである。
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