怖がらせるにもセンスがいる

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ヴァレンシア「……見事なまでにピッカピカね」 冥界、霊哭館 今回の肝試しの舞台となるこの場所についた時の第一声がそれであった 壁はしっかりと塗り直してあり、床には埃一つなく、庭には綺麗な花まで植えられている ナツメ「おうち……綺麗」 ヒース「本当にここなん?何か今すぐにでも人住めそうな感じなんだけど」 ロキ「ううむ……まさかここまでとは……」 部下の有能さに感心しつつも今はそれが恨めしい。冥王が眉間にシワをよせて唸る ヴァレンシア「これじゃあ今日中に全部をお化け屋敷にするなんてのは無理そうね……」 ヒース「いっそのこと新しくそれっぽい洋館描こうか?」 ロキ「却下だ」 どこからかペンを取り出すヒースを一言で切り捨て、目の前の綺麗な洋館を見詰めるロキ ナツメ「結構……広い……」 隣でナツメが小さく呟く ナツメ「これだけ広いと……飾り付け、間に合わないかもね……」 ロキ「むぅ……どうするべきか……」 ヴァレンシア「……それなら、飾り付けが間に合う程度の広さにすればいいんじゃない?」 ナツメの呟きに合わせて唸る冥王とは違い、お嬢は何かを思いついたようで、微かな笑みを浮かべて口を開いた ヒース「広さを?」 ヴァレンシア「ええ。数部屋だけ完璧に仕上げて、その部屋同士を空間魔法で繋いで……確かこちらの世界では可能だったわよね?」 ロキ「……まあ、可能ではあるな」 霊哭館全体を使いたかったのか冥王は些か渋ったが、結局それ以外に手はないと思ったのか渋々それを採用とするのであった
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