プロローグ――群雄たち

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すると。 「うん! ボクが必ずおじいちゃんをドームに連れてってあげるよ!」 瀬名があっけらかんと、しかし力強く一枝に宣言する。 「神奈川勢の壁の厚さは俺が一番よく知っているが……だからこそ俺に出来ることもあるかもな」 関谷はそう言って、口許に笑みを浮かべる。 「やります! やって見せます会長! 不肖・中嶋 徹(なかじま とおる)、粉骨砕身このOne-Tech野球部を死に場所と心得、尽くす所存であります!」 中嶋監督はそう叫ぶと、少し目を潤ませる。 「うわ、監督泣くなよみっともない」 瀬名が軽口を叩くと、関谷は、 「小僧! 監督はこれでも苦労を重ねてここまで来たんだ。少しは敬意を払え!」 と瀬名をたしなめる。 「関谷! “これでも”は余計だろ!」 そう怒鳴る中嶋の目は、何故か笑っていた。 その時。 「あ! そうだ!」 突然瀬名がそう言ってベンチに駆け込み、バッグから何かを取り出す。 「何やってんだ小僧?」 関谷が後ろからのぞき込むと、 「これでよし、と――今日神宮でENESSAと別の神奈川のチームの試合があるでしょ? これで観ようと思って」 そう言って瀬名が見せたのは、携帯型タブレット端末。 画面には、 「もきょ動生中継」 のロゴとともに、神宮の空に高々と舞う白球が映し出されていた。 『――入ったぁー!! 5回裏、CTR横浜の攻撃! 4番福嶋が遂にやりました! ここへきてアズナブルから遂に奪った初ヒットがなんとホームラン! これで6対1! 焼け石に水、と言うなかれ! さあ差はたったの5点! ここから、CTR横浜熱球倶楽部の反撃が始まります!!!』
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