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「ザ・ウォールねぇ……」
俺はひとり呟く。
「外野への飛球が極端に少ない」という『種子島式打撃術』の弱点に対応した防御網である『ザ・ウォール』ではあるが、その対処法は、当の辻が既に披露している。
「変化する打球によって、防御網の端を”決壊”させる」という対処法を。
ん?
まてよ?
……ああそうか。
変化する打球。
その”変化”は、相手の変化球の回転を利用することによってもたらされる。
ならば、ストレート、もしくは球の回転に依らない変化球を使えば、『変化する打球』は打つことが出来ない、ということになる。
幸い、野村の持ち球の中には、球の回転に依らない変化球であるフォークがある。
そもそも、付け焼刃的に『種子島式打撃術』を身に着けたであろう成田に、『変化する打球』をそもそも打つことが出来るかどうか。
『種子島式打撃術』対『ザ・ウォール』
ピッチャー野村から、第一球が放たれる。
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