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「プレイ!」
試合が再開された。
右打席に入るのは、5番の大道寺。
チャンスが続く状況に、三塁側・北鎌スタンドも沸き立ってくる。
――GO! 北条!
――GO! 北条!
……正直、喧しい。
だが。
数分もしないうちに、この喧騒は止むことになる。
「――ストラック! バッター、アウッ!」
――インハイにズバッと決まった、「カミソリシュート」
三球三振。
続く6番、清水。
――キィン。
インハイの速球で詰まらされ、ファーストフライ。
そして、7番の板部岡。
「――ストラック! バッター、アウッ! チェンジ!」
インハイの速球を見送っての、三振。
――熱球倶楽部、エース・野村。
140キロ台の速球と、ウィニングショット「カミソリシュート」の切れを生かしたインハイ攻めで、あれほど喧しかったスタンドを……いや、あれほどうっとおしかった「長槍」を、ピタリと黙らせた。
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