北条の、戦

10/12
105人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「プレイ!」 試合が再開された。 右打席に入るのは、5番の大道寺。 チャンスが続く状況に、三塁側・北鎌スタンドも沸き立ってくる。 ――GO! 北条!  ――GO! 北条! ……正直、喧しい。 だが。 数分もしないうちに、この喧騒は止むことになる。 「――ストラック! バッター、アウッ!」 ――インハイにズバッと決まった、「カミソリシュート」 三球三振。 続く6番、清水。 ――キィン。 インハイの速球で詰まらされ、ファーストフライ。 そして、7番の板部岡。 「――ストラック! バッター、アウッ! チェンジ!」 インハイの速球を見送っての、三振。 ――熱球倶楽部、エース・野村。 140キロ台の速球と、ウィニングショット「カミソリシュート」の切れを生かしたインハイ攻めで、あれほど喧しかったスタンドを……いや、あれほどうっとおしかった「長槍」を、ピタリと黙らせた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!