北条の、戦

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―――――――――――――――――――― 「3点もあれば十分だな」 「そうそう、僕ら“小田原城”にとってはセーフティリードだよね」 「あとは山中センパイがどこまで持つか、が問題だよな」 三塁側・北条重工ベンチ。 その隅に固まってそんなことを話しているのは、北条重工自慢のリリーバー、“小田原城”を構成する、小机(こづくえ)、田原(たばら)、城崎(きのさき)の三人である。 すると、 「おい“トリオ・ザ・ド阿呆”! くっちゃべってる暇があったら山中のピッチングをよく見とくんだな」 と、伊勢監督の声が飛ぶ。 「ひっどいなぁ監督ぅ~、僕らのユニット名は難攻不落の“小田原城”でしょう?」 “小田原城”の二番手“田原“担当、田原が情けない声を返すと、伊勢監督は、 「ド阿呆! お前らごときが“小田原城”なんて小田原市に失礼だろ!」 と言って、ぷいとマウンドの方を向く。
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