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「と言っても、山中センパイは先発三番手……エースの河越さんや二番手の八王子さんに比べるとなぁ……」
などとぶつくさ言うのは、”小田原城“の三番手“城”担当、自称リリーフエースの城崎である。
そんな田原、城崎をよそに、素直にマウンドを見つめているのは“小田原城”の一番手“小”担当の小机である。
マウンド上の先発投手・山中は左投げのアンダーハンド。
深く身を沈め、地面すれすれからリリースするその投球法は“空堀(からぼり)”などと呼ばれている。
「……今日の山中さんの“空堀”、よく掘れている」
ふと、小机がこう呟く。
「……本当に3点あれば充分すぎるかも知れないな。今日の山中さんの出来だと」
すると、
「それはどうかな~」
「まあでも、今日のセンパイは調子良さそうだね」
と田原、城崎が声をかける。
そして、規定の投球練習が終わり、熱球倶楽部の一番打者・銚子が打席に入る。
「プレイ!」
そして、山中の左腕から、第一球が投じられる――
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