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「兄貴、ハグして良いっスか」
「何だ急に」
「気分っス」
人目が有れば立派なガチムチ予備軍だけど、俺と2人きりになると甘えてくる。
「俺、もっと強くなるっス」
「それなら力業(ちからわざ)以外も身に付けないとな」
「うっス」
ケンはガタイが良い分、スピードがまだまだ遅い。
さっきトモにコテンパン(死語)にやられていたから、それでヘコんでいるんだろう。
「もし俺が強くなれたら、兄貴は真尋さんやトモさんじゃなくて俺を選んでくれるっスか?」
「どうだろうな」
ケンは落ち込んだ時、俺を独り占めしたがる。
「…今より強くなってもあの2人に勝てる気がしねっスけどね」
「精進しろ」
可能性は万が一だとしても、いつか勝てるかもしれないだろ。
それにしても、相変わらず筋肉の硬さが絶妙で抱き心地が良いな。
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