お兄ちゃんと忠犬

6/6
前へ
/137ページ
次へ
「兄貴、ハグして良いっスか」 「何だ急に」 「気分っス」 人目が有れば立派なガチムチ予備軍だけど、俺と2人きりになると甘えてくる。 「俺、もっと強くなるっス」 「それなら力業(ちからわざ)以外も身に付けないとな」 「うっス」 ケンはガタイが良い分、スピードがまだまだ遅い。 さっきトモにコテンパン(死語)にやられていたから、それでヘコんでいるんだろう。 「もし俺が強くなれたら、兄貴は真尋さんやトモさんじゃなくて俺を選んでくれるっスか?」 「どうだろうな」 ケンは落ち込んだ時、俺を独り占めしたがる。 「…今より強くなってもあの2人に勝てる気がしねっスけどね」 「精進しろ」 可能性は万が一だとしても、いつか勝てるかもしれないだろ。 それにしても、相変わらず筋肉の硬さが絶妙で抱き心地が良いな。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

732人が本棚に入れています
本棚に追加