長耳さん家の兄の料理の腕前

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 さて。次は妹が言った通りに冷蔵庫にある餃子と唐揚げでも温めるか。  餃子と唐揚げか。妹はカロリーとか口の臭いとか気にしないのだろうか。  兄として少し心配になる部分だよ、まったく。 「あがったよー」 「あがったー」 「こっちも丁度終わったー」  炊き上がったご飯をお椀に盛って、唐揚げと餃子を机に置く。 「コロちゃんはこっちね」 「にんじん、わふー」  適当な大きさに切って、茹でた人参をあげると、大喜びしながら頬張り始める。なんだこの生き物、抱きしめたい。 「……兎都、これ生温い」 「……ほら、まさかあれから数時間も入るとは予想できないじゃん? でも、なんていうか……ごめん」  唐揚げを一口。 「生温っ」  餃子を一口。 「こっちも生温いな……もう一回温めるか?」 「いや、もういいよ。食べれないわけじゃないし。……お兄ちゃんの手料理始めてだし。ご飯炊いて、レンジでチンしただけだけど」  もぐもぐ食べながらぽそぽそ呟く。 「物食べながら喋るな兎紗妹よ」 「うっさい馬鹿兄貴」 「なんで!? お兄ちゃんなんで暴言吐かれたのかわからないよ!」 「自分で考えれば?」  これだから思春期の妹は嫌なんだ。愛するならやっぱり小さい妹。これ一択。 「はぁ……もう、学校が始まるんだよな」 「そうね。楽し、」 「コロちゃんといれる時間が減ってしまう!」  休みの間はコロちゃんとたっぷりゴロゴロ出来ていたのに、学校が始まったら一緒に居たくもない奴等と一日の大半を費やすことになるなんて……! 「なんて無駄な時間なんだ!」 「ゴロゴロしてる時間の方が圧倒的に無駄だと思うのは私だけかしら?」 「俺とコロちゃんの時間に無駄など一切ない! というかちゃっかり読心術しないで!」  わーわーぎゃーぎゃー二人で騒いでいると、小さな寝言が聞こえてきた。  二人して寝言が聞こえてきた方向を見る。そこには、小動物が安らかな顔で寝ていた。 「……俺たちも寝るか」 「そうね。じゃあ私は皿洗いするから、兎都はコロちゃんを鍋の中で寝かせておいて」 「りょーかい」  そんなこんなで、新学期が近づいてくる。 「おやすみ、コロちゃん」  ま、俺たちの生活は何一つ変わらないだろうけどな。
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