学校が始まった。それは死の宣告

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 春休みが終わってしまった。なんだろう、この孤独感と喪失感。一人ぼっちで何かを失ったかのよう。 「よっす! また同じクラスだな兎都ちゃん!」 「いい加減ちゃん付けは止めてくれよ、さっちゃん。もう高二なんだから」 「なんだよー、幼稚園からの付き合いだろー。というか人に言う前にお前もちゃん付けなんだからお互い様だろ」  ツンツンと背中を突いてくるこの男。一言で言えば茶髪のチャラ男。  幼稚園からの付き合いであり、幼稚園時代からよく一方的に話しかけてくる。  苗字は薙刀(なぎなた)。名前は鷺(さぎ)。厳つい苗字と名前だけど、コミュニケーション能力が高く、人望が厚い。  その点、長耳兎都なんて珍しすぎる名前を持つ俺は、名前の時点で弄られるわなんやらで。更にはコミュニケーション能力皆無。ははっ。 「次」 「はい。皆さんこんにちわ。私は滝川 奈々(たきかわ なな)と言います。一応剣道をやっています。一年間宜しくお願いします」  今自己紹介を終えた人間を俺は知っている。 「あいつもかぁ……面倒くさ」 「因みに私もいるよ」 「知ってるから後ろ向くな。次はお前だろ」 「まったく、兎都ちゃんは相変わらずだなぁ」  先生の「次」という声が聞こえ、目の前にいた女生徒が立ち上がる。 「どうも、中原 華(なかはら はな)って言います! 好きなものは沢山あります! 嫌いなものも沢山あります! 一年間宜しくお願いします!」  今の自己紹介では名前以外なに一つ情報が得られなかったと思うんだが。 「次」 「長耳兎都。よろしく」 「次」 「「「本当に兎都ちゃんはブレないなぁ」」」  うるせ。 「どうも、薙刀鷺といいます! 名前は厳ついと思うんで気軽に『なぎ』とか『さっちゃん』とかで呼んでください! 因みに女の子が大好きでっす!」  お前ら三人も通常運転じゃねぇか。  というかこの一列の六分の四が幼稚園からの付き合いって、なんかの陰謀だろ。頭痛い。
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